「中国ワーキングプア 蟻族 鼠族」カテゴリーアーカイブ

【VIDEO】北京の蟻と鼠は大成を夢見る

中国で新型ワーキングプアが問題だ。高学歴だが劣悪な環境で共同生活する「アリ族」、薄暗い地下空間に生きる「ネズミ族」。華々しい発展の裏で広がる、若年層の貧困。都会を憧憬し訪れた若者はなにを思い、どんな暮らしを送るのか—。VICEトモが北京の地に赴き、現地調査に乗り出した。

〈後編〉北京の蟻と鼠は大成を夢見る

Text by Tomo Kosuga
[初出掲載:VICE.com日本版 2014年1月]

中国の首都・北京に赴き、高学歴ワーキングプア「アリ族」の実態を垣間見た我々は、アリ族に続く新型ワーキングプア「ネズミ族」の姿を追って、取材を続行した。 「ネズミ族」—。2010年頃から中国国内で囁かれるようになった「地下住人」を指す造語だ。彼らは太陽の光も届かない薄暗い地下で、ネズミ同然の生活を送っているという。その数、北京市内だけでおよそ100万人。北京市の人口が約2000万人であるから、北京人の1/20が地下で暮らしていることに。

北京の街ではそびえ立つ高層ビルの地下に無数の防空壕が広がる

100万人が地下に暮らす都市—。まるでSFのようで信じられないかもしれない。また、それだけ夥しい数の人を収容できるだけの広大なスペースが北京市の地下に広がっているのも驚きだ。果たして北京の巨大地下空間、いかにして生まれたのか?

〈前編〉北京の蟻と鼠は大成を夢見る

Text by Tomo Kosuga
[初出掲載:VICE.com日本版 2014年1月]

中国でいま、若者が「アリ」や「ネズミ」と呼ばれていることをご存知だろうか。
事の発端は2009年。1980年生まれの若手研究者・廉 思(リエン・スー)が北京郊外の唐家嶺を訪問した。そこで暮らす大学卒業生たちが、狭い部屋をルームシェアで借り、独立したキッチンやトイレがない一方、インターネット環境だけは整備されているといった特徴を見出した廉 思。知能が高く、弱く小さく、群れで暮らす様子から、彼らを「蟻族」と命名した。廉 思はこの時の記録と分析を著作『蟻族』にまとめ、本書は2009年のベストセラーとなっている。

2012年には『蟻族の奮闘』という名で連続ドラマが放映され、続く2013年には映画化もされた蟻族。中国を代表する中国語辞書『現代漢語詞典』第6版には〝オタクの男女〟を意味する「宅男・宅女」や短文投稿サイト「微博」(ウェイボ)などと共に「蟻族」が新語として盛り込まれるなど、現代中国の社会現象を象徴するキーワードとして知られる。
北京で10万人、中国全土では100万人いるとされる蟻族。なぜ高学歴を持つ若者がいま、過酷な生活を強いられているのか—。中国は北京の地を訪れ、急速発展を遂げる中国社会の影を追った。