〈後編〉北京の蟻と鼠は大成を夢見る


「開拓が始まった2003年頃の土地購入価格はとても安かった」と語るのは、現地不動産チェーン店の営業員だ。私たちに、この地の高層階物件のひとつを紹介してくれた人物である。
「当時、おそらく1平方メートル辺りで2,000元。それが今や1平方メートルで20,000元です。こうなると、投資家の存在が否定できません。実際、ここでは2軒以上の物件を所有する人々が大勢います。2003年当時、ここは確かに経済適用住宅として売りに出されましたが、実は購入する上での資格に制限がなかった。要するに、誰でも買えたのです」

高層ビルが建ち並ぶ天通苑の街並み

「天通苑で賃貸する人には、地方出身者が多いですね。毎年、多くの地方出身者が北京にやってくる。そうした人々のために、天通苑の賃貸住宅の多くは小さく区切られているのです。ひとつの物件を2つに、3つに、4つに……と区切っていけば、1人当たりの居住面積は5平方メートルに満たなくなるでしょう」
ズバリ、天通苑に地下室はあるのか?と訊くと、「あります。本来、地下室は人が住んではいけない場所。しかし利益のため、地下室を少し内装して賃貸に出す人たちがいます。個人オーナーは少しでも利益を得るため、安全面を疎かにしている」
この営業員が話してくれたように、この辺りには怪しい雰囲気を醸した数多の看板がしばしば歩行道を塞いでいた。そこには「半地下室150-600元」という文字も。
看板を出している人物に声を掛けると、実際に部屋を見せてくれることに。