現代の女性たちにかぐや姫の自由奔放さを見るインベカヲリ★

消費行動を限定されるような居心地の悪さ、ってあると思うんです。日本って、なかなかそういうところから抜け出せないじゃないですか。そういった集合体のなかで人とコミュニケーションを取りながら、流されずに自分を保つのって難しいこと。そこからはみ出た人が、この〝月に帰ってる人たち〟なんですよね。

『荒城の月』(2005年)※本書未収録作品 Copyright © Kawori Inbe

——インベさん自身もそうした日本社会に息苦しさを感じる1人なんですか?
はい。自分がそうだから、同じ周波数の人に惹かれるんです。私、最初はセルフポートレイトから入って。で、自分を撮るように人の人生も撮りたくなる。それで相手の核になっているものを引き出そうとしているんです。敢えて、世界に向けての強い目っていうのを撮りたいですね。なにか言いたがっている、鋭い視線を撮りたい。
——確かにそれは反映されていますね。ところで、モデルさんの話で印象的だったものってどんなのでしょう?
例えばリストカットしている或る子は「リストカットする姿を撮って欲しい」って他のカメラマンにもお願いするらしいんだけど、カメラマンが男の人だと「せっかく可愛いんだから、綺麗な姿しか撮りたくないよ」と言ってくる。「治って、ちゃんとクリアな姿になったら撮影してあげるけどね」って。
それって、すごくヒドい話じゃないですか。結局それも〝女の人はいつも柔らかく微笑んでいて〟っていう暗黙の要求なんですよね。いつも笑顔でいなさいって。言いたいことを言葉ではなく行動で示している人に対して「それはダメですよ」って抑圧してもエンドレスになるだけで。