東北の森で野ジカを追い、その暗がりに太古日本のクオリアを見出す

神の声を聞くための狩り

野ジカとの初接触が強い動機となって以来、『KURAGARI』は田附さんにとって継続的な写真行為のひとつになった。偶発的に出会ったシカをまるで銃で殺めるように、田附さんは写真行為で狩りを重ねていく。実際、狩りという皮膚感覚は田附さんにとっても欠かせないもののようだ。
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「獲物を沢山獲るために猟師たちがどうしてるかと言うと、神様に乞うんだよね。だけど神様から直接的になにかをもらえることはない。だから実際に獲れたら、たくさん獲れてありがとうございます、って感謝する。ようは、常に周りの環境と共和しながら生きていく必要があるってことなのよ」
「森と暮らす、海と暮らすってとき、そこを常に行き来してないと聞こえない声がある。自然とコミュニケーションをとっていくなかで神の声が聞こえる気がして、それに向かって猟をしていく。俺にとっては、それが写真行為なの。だから、こうなんじゃないか?と思ったことをひたすら続けるしかない」
「『KURAGARI』で同じことをずっと続けてきたのには、そういうのも含まれると思うんだよね」